で、結局1kgって何なの
こんにちは。
先日、ついに1kgの定義が変わりました。
日常生活で何か変わることは何もないんですけど、ついに単位の世界から○○原器がお役御免になったわけです。
問題
ただこの新しい1kgの定義がなかなか調べてもわかりにくい。
例えば秒であれば、
「セシウム133の原子の基底状態の2つの超微細構造準位間の遷移により放射される電磁波の周期の9192631770倍に等しい時間」(wiki)
と、なんだかよくわからないものの、何らかの時間であることはわかります。
ただkgの場合は、
「キログラムはプランク定数の値を正確に 6.626 070 15×10-34 ジュール・秒(Js、これはまた m2 kg s-1 とも表せる)と定めることによって設定される」(wiki)
と定義され、質量との関連性が全く見えません。
これを秒と同じように「○○の質量」と書くことはできないのでしょうか。
結論
1kgは
「周波数が[(299,792,458)^2/6.62607015]×10^34 Hzの光子のエネルギーと等価な物体の質量」(https://www.nmij.jp/public/event/2017/Forum2017/fujii_20180124.pdf)
となるそうです。
なんだかよくわからない量と、周期・エネルギーという質量とは一見関係なさそうな物理量が出てくるものの、
なんとか「○○の質量」と書くことができました。
これで今回の主題は終わりなのですが、
プランク定数からどうやって質量が出てくるかも気になる!
という方のためにもう少し詳しい導出をしてみようと思います
導出
詳しい話は産総研
(https://www.aist.go.jp/taisaku/ja/kg/index.html)
にあるのでそちらを見ればわかるのですが、もっとザクッとさらっていこうとおもいます。
まず、二つの重要な公式が成り立つことを信じてください。
1. E=mc^2
これはいわゆる世界で一番有名な公式ですね。
Eはエネルギー、mは物体の質量で、cは光速を表しています。
質量の大きさによってエネルギーが決まってくるよ~(逆もしかり)という式です。
2. E=hν
v(ブイ)じゃないですν(ニュー)です。光子の振動数を表しています。
これは光子のエネルギーについての公式で、
光子のエネルギーは振動数(1秒間に何回震えるか)で決まるよ~という式です。
ここで出てくるhが、質量の定義に出てきたプランク定数というものです。
この二つを組み合わせると、
hν=mc^2
つまり、
m=hν/c^2になります。
光の振動数は自分で勝手に選べますし、
光の速度は精密な測定をされていて、299,792,458m/sであることが分かっています。
つまり、あとはプランク定数hさえ決まってしまえば、mとνの関係が分かるということなんですね。
そして今回、プランク定数を6.62607015×10^(-34)Jsと決めたことで、
m=6.62607015×10^(-34)ν/(299,792,458)^2
から、m=1にするように、周波数が[(299,792,458)^2/6.62607015]×10^34 Hz
と決められたというわけです。
まとめ
1kgは
「周波数が[(299,792,458)^2/6.62607015]×10^34 Hzの光子のエネルギーと等価な物体の質量」
であり、プランク定数を定めることで定義されている。
以上、
実態として見えるけど値がはっきりしないもの(キログラム原器)を基準にしていたが
実態としてつかみづらいけど値がはっきりしているもの(プランク定数)を基準にするように切り替えたよ
という話でした。